一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Fa-8
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学生寮における室内空気環境と住まい方に関する調査研究
その3 内装材の化学物質低減化対策が自覚症状に及ぼす効果について
*東 実千代磯田 憲生
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抄録

目的化学物質による室内空気汚染問題の改善に向けて、低減化対策を施した内装が室内空気環境に及ぼす効果について報告した前報1)に引き続き、本報では、居住者の自覚症状について比較検討することを目的とする。
方法1)調査対象:従来の内装仕様のRC造5階建の学生寮(以下新築寮)に竣工後半年以内に入居した居住者と、ホルムアルデヒド低減仕様の内装材で改装工事が行われたRC造2階建の学生寮(以下改装寮)に工事終了半年後に入居した居住者とした。2)調査方法・時期:留置自記法による質問紙調査とした。新築寮は1997年(回収/配布:140/190部)、改装寮は2003年(回収/配布:58/72部)に実施した。調査項目は居住者属性、自覚症状(12項目)申告の有無と感じる場所、換気の方法や頻度等とした。
結果と考察自覚症状(異臭・刺激臭、目がチカチカ、喉の痛み等)のいずれかを申告した割合は、新築寮に比べて改装寮が低かった。各症状別にみても、改装寮の申告率が低いものが大半を占めた。症状を感じる場所については、新築寮では居室における申告率が高かったが、改装寮では共用ラウンジ、廊下や階段など居室外の申告割合が高く、居室に関しては内装対策の効果が現れていると考えられた。また、在室時間の多くを占める夜間における窓開放状況について比較すると、改装寮の開放率が高い傾向が認められた。これは改装工事と同時に学生寮入口のセキュリティが改善された効果と推察され、室内空気環境の改善のためには安全性の確保等、換気が行われやすい環境を整備することも重要と考えられた。
文献 1)東ら;日本家政学会第55回大会研究発表要旨集,p.240(2003)

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