一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Ja-2
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家政学の知識構造
-日本家政学会会員属性の分析-
*木本 尚美
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キーワード: 家政学, 知識, 日本家政学会
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抄録

[目的] 家政学における教育研究の可能性を考える際の基礎的研究として,学会の会員数の推移,学知の動向,会員の成層等から,家政学の知識構造の一側面を明らかにする. [方法] 日本家政学会会員名簿の,1994年,1998年,2004年に登録された正会員の出身,所属,専門領域,取得学位等を分析し,近年の家政学の知識構造の動向を考察した.[結果] 学会の規模は,これまで成長・充実・安定期を経緯してきたが,1990年代後半から減少に転じている.これは家政系短大の衰退にともない,短大所属会員の減少が,要因の1つであることが明らかにされた.又近年会員の中に博士学位(学術)の取得者が増加している一方で,それ以外の学位取得会員の減少が明らかになった.こうした知識構造の変化は,家政学が自立し始めていることを示唆しており,単なる寄せ集めの学から学際的領域としての意味合いを強める構造になってきているといえる.しかし,会員の専門領域には著しい偏りがあり,いびつな構造であることが示唆された.すなわち家政学の知識構造は,自然科学,社会科学,人文科学の諸学のバランスが悪く,そのことが家政学に曖昧な印象を与えているといえる.さらに,会員ならびに学位取得者を多数輩出する少数大学が学会の成層を形成していることが明らかにされた.このことから学会内には家政学の教育研究のリーダー的大学群が認められた反面,寡頭支配を生みだす可能性も存在しているといえる.

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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