一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-413
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高齢者の調理実習からみた調理技術の検証
戸田 貞子立山 和美*笠松 千夏浜田 陽子高橋 恭子畑江 敬子
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キーワード: 高齢者, 調理, 調味操作
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抄録

目的 高齢者の健康で活力ある生活のために高齢者の食事作りを支援することを目的に高齢者の調理技術の実態を観察した.高齢者にとってどのような調理がやりやすいか、どんな食材が取り扱いやすいか、どんな調理器具が使いにくいか、何を改良すれば調理をしやすいか、について検証を行う.
方法 (1)新潟県典型的農村在住者5名(平均年齢72.6歳)および都市近郊である千葉県在住10名(平均年齢72.2歳)を対象に調理実習を実施した.実習内容は、味噌汁、肉じゃが、漬物の3品とした.実習中はビデオ撮影し、包丁による切砕操作、調味(味付け)、火加減、手順についての調理行動を観察した.(2)(1)の高齢者および20~30代の調理熟練者に、りんごの皮むき、きゅうりの千切り、鯵の三枚おろしを課し、調理時間と仕上がり成績を比較した.
結果 (1)高齢女性は、全体の流れはスムーズで、待ち時間を効率よく他の作業にあてるなど、短時間で調理を終えることができた.一方、高齢男性はレシピの手順通りに調理し、段取りを考えての3品同時調理はなかった.農村在住高齢者の中には、一定の姿勢を維持しながら連続して行う調理操作が困難で途中着席するものも見られた.参加者はいずれも火加減の細かな調節、調味料を加える順番や加減はあまり意識せず、調味料の入れ忘れも観察された.そのため味噌汁の塩分濃度は0.9~1.6%とばらつきが大きかった.(2)りんごの皮むきにおける廃棄率は、調理熟練者と差がなかったが、きゅうりの千切りにおいては個人差が大きく、調理経験との関連が示唆された.鯵の三枚おろしは農村在住高齢者の方が比較的スムーズに行っていた.高齢者の調理は、単位操作にかかる時間が短い調理においては全体的に支障なく行うことができた.しかし調味、加熱操作において、支援すべき事項が示唆された.

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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