目的 高齢者自身がおしゃれをすることで精神を活性化させることができることについては、多くの研究成果が報告されている。しかし介護される側ではなく、介護する側の装いについては未だ何も語られてはいない。外出することが難しい高齢者の入居している施設では特に、若い職員を通して外からの文化が入ってくる。そこで、今現在の文化情報の一つとして若者のファッションに焦点を当て、これを文化受容の方途及びコミュニケーションの手段として活かすことを考えた。今回はまず、どのような若者のファッションが高齢者に好まれるかについての調査を行った。
方法 高齢者福祉施設の利用者に対し、男女の若者のファッションの代表的な写真を提示し、どれが好ましいか(好ましくないか)について聞き取り調査を行った。対象としたのはデイサービスセンター・「ふれあい・いきいきサロン」・新型特養(ユニットケア)の利用者である。
結果 今日の高齢者は、ただまじめに見えるだけのものや、個性の感じられないスタイルに魅力を見出さず、ある程度流行を取り入れたものを好ましいと感じていることがわかった。また、個性そのものよりも全体のバランスが大切であることも明らかとなった。さらに、キャミソールやパンク風ファッションに関しては賛否両論が出現し、高齢者そのものの中の文化的背景による考え方の相違等を見出すこともできた。