【目的】我々は、長年、ルミノール化学発光法を用いて、ペルオキシラジカル捕捉活性能の測定法の普及に努めてきた。今回は、高価な電子スピン共鳴装置(ESR)を用いずに、ルミノール化学発光法で、食材のヒドロキシラジカル捕捉活性能の動向がつかめるかどうかを検討した。
【方法】試料は抗酸化能が高いとされる大豆醤油や魚醤油を用いた。方法は鉄を反応のトリガーとして過酸化水素を用いたフェントン反応から、アルカリ条件下のルミノールによって発生したラジカルの発光(ケミルミネッセンス)を測定するために、アロカ社製ルミネッセンスリーダAccuFLEX Lumi400やキッコーマン社製ルミテスターC-100を使用した。一方、比較実験としては、日本電子(JEOL)社製ESR JES-FR30を用いて、鉄を反応のトリガーとしたフェントン反応から発生したヒドロキシラジカルをスピントラップ剤DMPOと共に測定した。両者の結果の比較検討は、発生したラジカルの半分量を捕捉する醤油濃度と定義したIC50値で行った。
【結果】比較した醤油試料のIC50値は、ESRによる測定では0.11%~0.92%、ルミノール化学発光法による測定では、0.01%~0.28%の範囲であり、ルミノール化学発光法の方が感度の良さを示した。なお、現在、相関係数rは0.724で、コバルトをフェントン反応のトリガーに用いた場合と同様の傾向があり1)、ルミノール化学発光法で、ヒドロキシラジカル捕捉活性能を持つ食材のスクリーニングができる可能性が示唆された。
1) 安藤真美, 薦田礼司, 切通舞, 戸塚あゆみ, 山本崇, 前田俊道, 原田和樹:日本農芸化学化学会2007年度大会講演要旨集, 印刷中 (2007).