一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: E1-5
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ビタミンCによる破骨細胞形成の抑制
*塚本 幾代稗 万美子
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抄録

[目的]骨髄細胞は、M-CSF(macrophage colony stimulating factor)とRANKL(receptor activator of NF-κB ligand)の存在下で破骨細胞に分化する。ビタミンC(VC)が、骨髄細胞の破骨細胞への分化にどのように影響するかを検討した。
[方法]ラットの大腿骨・脛骨から骨髄細胞を採取し、10%FCSとM−CSFを含むMEM培地で、VC存在下と非存在下で培養した。3日後、培地交換とともにRANKLを添加し、72 hの培養を行った。培養細胞の生細胞数、酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)活性, TRAP染色による破骨細胞数の計測を行った。また、RANKLシグナリングにおけるVCの影響を明らかにするために、RANKL添加後、0~120 minの培養を行い、MAPK(JNK, ERK, p38MAPK)のリン酸化をwestern blotで調べた。
[結果]VC存在下と非存在下において、生細胞数には差異が認められなかった。TRAP活性は、10, 50, 100μg/mlのVC存在下で、VC非存在下の培養細胞の約50, 35, 35%に減少した。多核(3個以上の核)のTRAP陽性細胞数も、10, 50, 100μg/mlのVC存在下で、VC非存在下の培養細胞の約45, 35, 10%に濃度依存的に減少した。即ち、VCは、破骨細胞形成を阻害することが明かとなった。western blotの結果、VCは、ERKの活性化には影響しなかったが、RANKL添加後5,15 min でおこるp38MAPKと JNKのリン酸化を抑制することが判明した。以上の結果から、VCは、p38MAPKと JNKの活性化を阻害することによって、破骨細胞形成を抑制したと考えられる。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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