一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-22
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高校生の描いたファッションデザイン画の評価
*野口 雅子森 俊夫
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抄録

目的 ファッションデザイン画を評価する場合,多くは教師の主観的な判断によって評価される.客観的評価が必ずしも主観的評価よりも上位であるとはかぎらないが,評価する教員の主観によるくい違いが感性教育を実践する上で重要な課題となる.そこで,本研究では,高校生が描いたファッションデザイン画について周波数解析を行い,デザイン画の1/fαゆらぎを分析すると共に,ゆらぎ係数(α値)と教師の評価点との関係を検討した.
方法 高校生の描いたファッションデザイン画はカラースキャナを用いて,画像サイズ512×512ピクセル,解像度72dpiの条件で取り込まれた.周波数解析は画素の周波数成分によってファッションデザイン画を記述しようとする方法である.離散的フーリエ変換により,算出されたパワースペクトルは各周波数成分の寄与を示し,周波数に対して2次元的に表示されるので,1次元パワースペクトルに変換された.
結果 一次元パワースペクトルの周波数に対する依存性を調べたところ,両者の両対数プロットにおいて,いずれの試料もよい直線関係が得られたので,ゆらぎ係数のα値を算出した.パワースペクトルの周波数依存性からゆらぎの性質を推定し,これらのゆらぎの種類から,ファッションデザイン画をいくつかのグループに大別することができた.教師の評価点とα値との関係を比較したところ,評価点数が低いデザイン画ほど,αが1より大きな値を示したり,小さな値を示したが,点数が高いものほどα=1付近に分布する傾向がみられた.したがって,人に美しさや心のやすらぎを与える1/fゆらぎを示すファッションデザイン画は教師の主観的な判断による評価点が高い傾向にあることが分かった.

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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