一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-21
会議情報

型紙のデジタル化処理 その9
仙台浴衣と仙台手拭いについて
*川又 勝子佐々木 栄一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目 的】 著者らはこれまで昭和初期から仙台地方で多量に生産され、東北・北海道に広く販売された型染め製品の「浴衣」と「手拭い」について調査してきた。当時の製品は殆ど失われており、調査対象とした染色工場(仙台市名取屋染工場)に染色品として現存しているものは少なかった。しかし、型紙については多数保存されていることが分かり、これまでに第1型箱147枚の型紙について型紙の調査と文様の電子保存、破損・欠損箇所の電子修復を行ってきた。今回は新たに、第2型箱232枚より120枚を抽出し、調査と電子保存・修復を行った。
【方 法】 デジタルカメラ(約800万画素)を用いて型紙を2箇所に分けて撮影し、同時に型紙の計測と破損・欠損箇所を調べ、型紙の分類を行った。また、撮影した画像はパソコンの汎用画像処理ソフトを用いて繋ぎ合わせて一枚の型紙画像を作成し、その段階で若干の修復・加工を試みた。さらに、大きな破損・欠損箇所の修復、染色品復元時の文様の歪みや不自然さを無くすための修復・加工も行った。
【結 果】 折れ曲がりや破損・欠損箇所のある型紙は62枚と全体の約半数で、これらについての電子修復を行った。
形紙の種類は、前回までの調査と異なり「名入れ以外の型紙」が102枚と調査数の8割以上を占めたが、同一の文様構成の型紙が12組あった。「名入れ型紙」では、15枚が手拭い用型紙であり浴衣用は4枚であった。また、文様別分類では割付文様57枚、植物文様が54枚、文字19枚、自然文様16枚、器物文様10枚、動物文様7枚、その他20枚であり、これらが複数組み合わされた複合文様型紙が62枚、単一文様型紙が58枚とほぼ同数であった。

著者関連情報
© 2007 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top