一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2A11
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2日目口頭発表
遺伝子組換え技術による味覚修飾タンパク質ミラクリンの発現
*井上  裕康中田 理恵子
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抄録

【目的】味覚は豊かな生活にとって必須の感覚であり、老化やストレスによって変質することがわかっている。近年、甘味、酸味、旨味、苦味の受容体が発見されたが、味覚研究は未開拓の部分が多く残されている。ミラクリンはミラクルフルーツに含まれる糖タンパク質で、霊長類において酸味を甘味に変換する味覚修飾作用を持つ。この作用には糖鎖必要の可能性が報告されているが、ミラクリンが甘味受容体や酸味受容体とどのような相互作用をするかなど、分子レベルでの作用機構は明らかではない。そこで我々はミラクリンの味覚修飾作用の分子作用機構解明を目指す第一歩として、活性型組換えミラクリンの発現の研究を開始した。【方法】ミラクルフルーツからRNAを抽出し、定法に従いミラクリンのクローニングを行った。組換えタンパク質の発現には、効率的であるが糖鎖を付加しない発現系である大腸菌と、糖鎖を付加される発現系であるシロイヌナズナの2つの系を構築した。【結果】天然ミラクリンはジスルフィド結合を介したホモダイマーを形成して活性を持つが、大腸菌で発現させたミラクリンにおいても、ウエスタンブロット法で解析した結果、部分的にホモダイマーを形成していることが明らかとなった。また、シロイヌナズナで発現させたミラクリンでは、ほとんどがホモダイマーを形成していた。さらに組換えミラクリンを精製後、官能検査による活性評価を行ったところ、シロイヌナズナで発現させたミラクリンは酸味を甘味に変換する味覚修飾作用を持つことが明らかとなった。一方、大腸菌で発現させたミラクリンにも同様な活性を持つ可能性が高いことがわかり、その結果を含めて発表する予定である。(研究協力者:松山友美)

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