抄録
目的 毛髪のカラーリングは、処理剤による毛髪の損傷や安全性への懸念など、さまざまな問題を抱えている。そんな中、植物由来の染料、ヘナ(主成分、ローソン;2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)が注目を集めている。本研究では、ヘナの主成分ローソンの毛髪への吸着条件と吸着量、そして、毛髪損傷に対する保護効果を検討した。
方法 ローソンの吸着量は、ローソン溶液(5x10-4mole/l, 緩衝液6ml)に毛髪0.2gを加え、30℃で24時間振騰した後、460nmでの吸光度の減少量から求めた。洗髪は、シャンプー処理(10%SDS水溶液25ml中で毛髪0.5gを1分間攪拌)、すすぎ(蒸留水50ml中で3分間攪拌)、リンス処理(1%塩化デシルトリメチルアンモニウム液25ml中で1分間攪拌)、すすぎ、ドライヤー乾燥(2分間温風加熱)の一連の処理を、1回の洗髪とした。毛髪の表面状態は、SEM、FT-IRによって調べた。
結果 1)ローソンの毛髪への吸着:吸着は溶液pHに大きく依存し、アルカリ側では吸着量が非常に少なく、pH4-5付近で吸着量が極大となった。非イオン界面活性剤、ベンジルアルコール、ミョウバンなどは、吸着に影響を及ぼさなかったが、Na2SO4を高濃度に添加した場合は、吸着量が増大した。2)洗髪ダメージに対するローソンの保護効果:洗髪回数がふえるにしたがって、いずれの毛髪も損傷が顕著になった。しかし、ローソン処理をした毛髪では、キューティクルの浮きやはがれが少なく、ローソンの保護効果が認められた。特に、パーマや漂白を施した毛髪において、大きな違いがみられた。FT-IRによって、吸着したローソンの一部は、1,4付加により、ケラチン側鎖に結合していることが示唆された。