一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 3K-7
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高齢社会におけるスペインの世代間交流活動の取り組み
*石橋 ふさ(※)子 (金へんに英)草野 篤子
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抄録

目的 高齢社会においては、高齢者が社会的に孤立しやすく、各世代が分離した日常生活をおくることを余儀なくされている。全ての世代の人々が地域社会で居場所を見つけ、それぞれの役割を発揮することが求められている。そのための有効な世代間交流の「仕組み」をつくることは、喫緊の課題であるが、日本では、まだ世代間交流プログラムは高齢社会における問題解決の一対策として迅速には実施されていない。スペインでは、民間の財団、大学、NPOなどが中心となって問題解決策のひとつとして世代間交流プログラムが実施されている。このスペインの取り組み方を学び、日本における世代間交流の実践と理論化に更なる発展をもたらすことを目的とする。 方法  2008年10月に、米国ペンシルバニア州立大学マット・カプラン教授、スペイングラナダ大學のマリアーノ・サンチェス教授の支援を得、スペイン各地の世代間交流プログラムの実地調査、およびプログラム参加者、スタッフへのインタビュー調査、セミナーなどをとおして、スペインにおける世代間交流プログラムの実態および理論を学んだ。調査地は、バルセロナ、バレンシア、ムルシア、グラナダ各都市である。 結果 スペインでは、高齢社会が抱える諸問題の解決策の一方法として、様々な世代間交流プログラムが実施されている。一例として、バルセロナでは、民間財団が運営する「リブ アンド リブ」という大学生が高齢者と同居し共同生活を通して相互支援をするプログラム、バレンシア大学では中高年世代が若い学生と共に授業に参加するプログラム、グラナダでは、アクティブな高齢者と他世代との交流を促進し連携を深めることを目的とするOFECUMという民間団体のプログラムなどがあり、高齢化が急速に進む日本社会にとって、非常に示唆に富む知見を得ることが出来た。

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