一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2P-4
会議情報

親子のコミュニケーションが中学生の食事状況と心の健康の関係に及ぼす影響
*黒川 衣代小西 史子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 中学生にとって家族との共食,孤食,個食,会話等の食事状況が心の健康に関係していることは明らかにされている.しかし,現実には家族関係は良いが仕事や塾のために共食が難しい場合が考えられる.そこで,本研究では日常の親子のコミュニケーションが食事状況と心の健康の関係に及ぼす影響を調べる.
方法 佐賀県小城市の中学校の1年から3年生を対象に2007年11月から2008年2月に質問紙による調査を行った(回収612票:男子299,女子313).主な調査内容は,朝食・夕食の食事状況(孤食,家族全員共食,個食,テレビ視聴,会話),心の健康状態,父親・母親とのコミュニケーションである.
結果 主な知見は以下のとおりである.(1)心の健康のレベルには男女差があり,男子の方が健康レベルが高かった(t=5.56,p<0.001).(2)父親とのコミュニケーションに男女差はなかったが,母親とのコミュニケーションは女子の方がよかった(t=5.41,p<0.001).(3)相関分析の結果,朝食・夕食に共通して,テレビ視聴をのぞく食事状況すべてが心の健康と有意に関係していた.(4)朝食に関して男女別に,心の健康を従属変数,食事状況を独立変数として重回帰分析を行ったところ,有意な関係が認められたのは男子の個食のみであった.また,この回帰モデルに父親・母親とのコミュニケーションを追加投入して影響が認められたのは女子だけであった.(5)夕食に関しても男子では個食が関係しており,父親・母親とのコミュニケーションの影響はなかった.女子では孤食と会話が心の健康に関係しているうえに,父親・母親とのコミュニケーションの影響が認められた.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top