2023 年 9 巻 2 号 p. A_197-A_204
不確実性の高い災害時等の行動選択は、その不確実性ゆえ、平時とは異なる過程を経て行われ、意思決定者の選択肢集合自体が、平時に比べて大きく変化しうる。将来の不確実性は時々刻々の意思決定に当然影響するが、(既存研究で看過されている)将来の選択肢集合の不確実性も意思決定に影響する。本研究では、選択肢集合が動的・確率的に遷移することを表現できる動的離散選択モデルを構築する。意思決定時の選択肢集合は非補償的に形成し、将来の選択肢集合は、選択肢集合形成の不確実性を表現するため、確率的・補償的に扱う構造を導入する。提案モデルを、豪雨災害時の滞在場所選択行動に適用した実証分析を行い、本モデルの有用性を明らかにした。