一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3A-6
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口頭発表 5月13日 食物
植物性食品における抗酸化能測定法の検討
*人見 英里成瀬 瑞穂若林 舞
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キーワード: 抗酸化能, ORAC法, DPPH法, 野菜, 果物,
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抄録

【目的】近年、食品の抗酸化力に対する統一した指標を確立するにあたり、米国農務省と国立老化研究所の研究者らによって開発された抗酸化能指標であるORAC法が着目されている。本研究は、植物性食品を試料として用い、これまでに報告されたDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル捕捉能やO2⁻消去能による抗酸化能の評価と、ORAC法による評価との間の関連性を確認することを目的とした。
【方法】市販の植物性食品14種類(ニンジン、春菊、大根、トマト、レンコン、ブロッコリー、リンゴ、ブルーベリー、柿、キウイ、レモン、紅茶、緑茶、ルイボスティー)について野菜類・果物類は搾り汁、茶類は熱水浸出液を試料とした。それぞれの試料について、DPPHラジカル捕捉能、O2⁻消去能、ORAC値を測定し、それぞれの測定法における抗酸化力の関連性を検討した。また、抗酸化成分であるポリフェノールと還元型アスコルビン酸含量についても測定した。
【結果】測定法における関連性では、DPPHラジカル捕捉能とO2⁻消去能の間に相関は見られなかった。また、ORAC法とO2⁻消去能の間にも相関は見られなかった。しかし、DPPHラジカル捕捉能とORAC法との間には有意(p<0.01)な相関が認められた。試料中の抗酸化成分と測定法の関連性では、還元型アスコルビン酸含量と、各測定法の間には相関は見られなかったが、総ポリフェノール含量とDPPHラジカル捕捉能、ORAC法との間には有意(p<0.01)な相関が見られた。
【考察】植物性食品においてDPPHラジカル捕捉能とORAC法との間に相関がみられたのは、抗酸化成分としてポリフェノール含量が多いためであると考えられた。従来法であるDPPHラジカル捕捉能による評価も測定法の特徴を十分に理解した上であれば、抗酸化能評価法として有効であると考えられる。 

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