一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3A-7
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口頭発表 5月13日 食物
ラット好塩基球様細胞株RBL-2H3の脱顆粒に及ぼすミルク由来ペプチドの影響
*岡本 威明田中 守山岸 賢司菅原 卓也
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抄録

【目的】近年,特に先進国においてI型アレルギー患者が急増し,大きな社会問題となっている。これまでに,茶カテキンなどのポリフェノール類が抗アレルギー効果を示すことが報告されているが,食品由来ペプチドについての報告例は少ない。本研究では,抗アレルギー作用を有する新規ミルク由来ペプチドの検索を目的とし,数種のペプチドによる脱顆粒抑制効果を検討した。【材料および方法】ペプチドサンプルは,ミルク由来ペプチド混合物であるCE90GMM(平均分子量;640)および CE90GMMに含有する4種のペプチド,HAQ(His-Ala-Gln),DMES(Asp-Met-Glu-Ser),EQPI(His-Gln-Pro-Ile),KIKE(Lys-Ile-Lys-Glu)を用いた。RBL-2H3細胞に各種ペプチドを10分間作用させた後,抗原との共刺激30分後のβ-hexosaminidase放出活性を測定した。【結果および考察】ミルク由来ペプチド混合物CE90GMM刺激下では,有意なβ-hexosaminidase放出抑制効果が認められ,CE90GMMに含まれる4種のペプチド刺激下では,全てのペプチドにおいて用量依存的に有意なβ-hexosaminidase放出抑制効果が認められた。その抑制効果の強度は,HAQ≧EQPI≧DMES>KIKEの順であった。さらに,HAQペプチドおよびKIKEペプチドを蛍光標識し,RBL-2H3細胞へ作用させたところ,HAQペプチドが強く細胞内へ取り込まれていることが明らかとなった。よって,ペプチドによる抗アレルギー効果の発現には,細胞内への取り込みが関与するのではないかと示唆された。

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