一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3C-5
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口頭発表 5月13日 食物
酵母と細菌でパンを作る
*安田 怜未堀 光代粕谷 志郎長野 宏子
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抄録

【目的】パンを作るには、市販酵母が一般的であるが、世界のパンには様々な微生物が存在する。伝統的パンの製造に関与しているプロテアーゼ活性の高い微生物とパン酵母S.cerevisiaeを用いたパンの作製と、作製したパンの特徴を検討することを目的とした。
【方法】(1)伝統的なパンスターターから分離したBacillis subtilis JK株、M2-4株、DB株由来の酵素を、小麦粉のアルブミン・グロブリン・グリアジンの画分に作用させた。 (2)小麦タンパク質分解能の高い菌株JK株を選択し、そのBacillis subtilis JK株を用いて、180℃のオーブンで15分焼成し、パンを作製し、膨化及び比容積の再現性を見た。(3)各パンの凍結乾燥試料の抽出液を、SDS電気泳動及び抗原抗体反応、遊離アミノ酸組成分析(HPLC)、及び二次元電気泳動用試料とした。
【結果】(1)小麦タンパク質画分への作用は、パン酵母S.cerevisiaeはほとんど無いことに対し、JK株、M2-4株、DB株由来の酵素は、グロブリン画分及びグリアジン画分において、JK株 は21kDa以上の高分子タンパク質及びアレルゲンタンパク質でありWDEIAの原因抗原でもあるω-5グリアジン(分子量40~67kDa)を分解した。 (2)パンの膨化と比容積から評価すると、JK 株のみを用いたパンの比容積は1.23、パン酵母のみを用いたパンは2.68であったが、JK株と酵母を混合したパンは3.67となり、膨らみのよいパンができた。今後、官能評価も行う予定である。(3)パンの遊離アミノ酸組成分析の結果、JK株と酵母を混合したパンでは、うま味成分であるグルタミン酸やアスパラギン酸の増加がみられた。(4) JK株と酵母を混合したパン中のペプチドについては検討中である。

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