一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3D-2
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口頭発表 5月13日 被服
授乳ブラジャーに関する消費科学的研究
*平井 千尋鳴海 多恵子生野 晴美川端 博子
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抄録

【目的】妊娠期、授乳期の女性の体型変化に対応させ、授乳機能を有する補整下着として、授乳ブラジャーが販売されているが、消費者の視点に立つ消費科学的性能に関する研究・報告はほとんどみられない。本研究では形態安定性の変化に着目し、洗濯および着用の繰り返しによる消費科学的性能の視点から授乳ブラジャーの特徴を把握し、快適な育児生活となるよう母親となる消費者への情報提供を目的とする
【方法】
試料にはクロスオープンタイプA(綿57%,ポリエステル43%、2目ゴム編み)とB(綿95%,ポリウレタン5%、横メリヤス)の2種のブラジャーを使用した。(1)継続着用実験では、被験者が日常生活において着用・授乳と洗濯を20回繰り返す事による形態変化と外観の変化をとらえた。(2)AとBの未使用の試料から、2.5㎝×15cmの試験布を採取し、授乳の実態から設定した引張条件である30%の伸長10分、緩和5分を5回、その後洗濯・乾燥を1サイクルとし、20サイクル繰り返した。サイクル毎に寸法計測と30%伸長に要する荷重を確認した。
【結果】(1)では、Aでは収縮していたが、Bでは変化が少なかった。両方とも母乳の染み付きが残り、色落ちや黒ずみがみられ外観の状態は低下した。(2)では、Aは10サイクルの後、9%伸長し、荷重に関しては6回目で増加し、その後は減少傾向にあったが、Bは寸法および荷重に大きな変化はなかった。Aはポリウレタンが入っていないため戻りが悪かったと考えられる。一般的に授乳ブラジャーは肌に優しいとされる綿製品が多く、形態が変化しやすく、収縮が起きたり残留ひずみが生じたりしやすいことが明らかとなった。

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© 2012 一般社団法人 日本家政学会
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