一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2I-4
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口頭発表 5月12日 住居、震災
住宅の長寿命化における維持管理のあり方
*藤平 眞紀子
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抄録

【目的】住宅の長寿命化を実現させるためには、住宅を構成する部材の品質や耐久性などからの対応とともに、適切な維持保全計画および計画に基づく維持管理が必要不可欠である。長期優良住宅の認定においては、維持保全計画の作成が義務づけされているが、適切に実行されるかどうかは、住宅を建設したメーカーや工務店とともに居住者自身に任されている。そこで、居住者の維持管理の実態を把握するとともに、住宅の長期使用、長寿命化に対する意識や維持保全計画のあり方について検討した。【方法】1980年代から段階的に宅地開発、住宅建設が進められている奈良県内の住宅地の居住者を対象として、アンケート調査を行った。有効回答数は76であった。【結果】回答者の平均年齢は67歳であり、女性が67%であった。持ち家が96%と多数を占め、入居形態は建売り新築入居が41%、注文新築入居が37%、中古入居が21%であった。築後20年以上の住宅が半数以上を占め、築後10年未満は約3割であった。長期優良住宅は10軒であった。住宅の定期的な点検は築後年数の浅い時期に実施されているものの、築後10年が過ぎると不具合の発生に対応して修繕が行われている。長期優良住宅認定における税制の優遇措置に対して魅力を感じる居住者は多いものの、維持保全計画については「必要」と「わからない」と意見が分かれた。また、メンテナンスを計画的に行っている住宅について、資産価値は保たれるものの、中古住宅として活用されるかについても評価が分かれた。日頃の維持管理の取組みや今までの維持管理とのかかわりがみられたことから、築後まもない時期から居住者の維持管理意識を高め、計画に従った維持管理が実施されるしくみを整備していくことが求められる。

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