一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3I-4
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口頭発表 5月13日 住居、震災
学生アパートにおける室内空気質と生活行動に関する実態調査
*萬羽 郁子中山 亜友美五十嵐 由利子
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抄録

目的 改正建築基準法で内装仕上げ材の規制や機械換気設備の設置が義務付けられて以降、新築住宅のホルムアルデヒド濃度は低下傾向にあるが、生活用品による室内空気汚染や、居住者の機械換気設備の使用状況に関する問題が報告されている。筆者らは、一人での生活を始めてからの期間が短い大学生の住まいを対象に室内空気質濃度の実測調査を行っており、本報では生活行動との関連について検討した。
方法 対象住戸は新潟市内の木造の学生アパート10戸で、築年数の内訳は1年以内が6戸、3~5年が3戸、17年が1戸であった。夏期の室内閉鎖状態での濃度として、2011年7~9月に、検知管法によるホルムアルデヒド濃度とポータブルVOC分析装置を用いた簡易GC分析によるVOC(トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン)濃度を測定した。また、生活行動と室内空気質の関連性について検討するため、2011年9~10月に夏期・秋期調査、2011年12月に冬期調査として、ホルムアルデヒド・アセトアルデヒドとVOC(上記4物質+パラジクロロベンゼン)をパッシブ法で24時間捕集した。アルデヒド類はHPLC、VOCはGC-MSで分析した。測定中は、生活行動記録を行うとともに室内の温度・相対湿度を連続測定した。
結果 検知管法による夏期閉鎖状態のホルムアルデヒド濃度は10戸中6戸、VOCについても一部で厚生労働省の室内濃度指針値を超えていた。パッシブ法による24時間平均濃度については、指針値を超えていた住戸はみられなかったが、窓開放頻度の低い住戸ではホルムアルデヒド濃度が指針値に近い濃度であった。また、木製家具の量や換気設備と室内濃度の関連性についても示唆された。

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