一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3H-3
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口頭発表 5月13日 家政教育
家庭科教員養成における授業観察演習の試み
*佐藤 ゆかり小高 さほみ
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キーワード: 家庭科, 教員養成, 授業観察
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抄録

<問題関心と目的>教員養成課程において教員としての力量形成をどのように行うかが課題とされている。授業をコミュニケーションととらえた場合,教師に求められる基本的な力量として授業事象の認知があり,経験教師と教育実習生の認知には違いがあることが明らかにされている。本報告では中学校家庭科の授業観察とその後の演習を事例として,学生がどのように授業をとらえているのかを明らかにし,家庭科の授業実践力育成のための課題について考察することを目的とする。
<方法>中学校家庭科の授業観察後に,観察者による観察事象の可視化と共有化を行い,その過程をICレコーダにより記録した。分析対象は観察者の記述及びICレコーダによる記録内容である。授業観察は2011年10月18日に実施した。観察対象はJ中学校2年1組「題材名:賢い消費者を目指して‐消費者の権利と責任を考えよう‐」の「大切にしてほしい!あなたの権利と責任」をテーマとした授業であった。観察者による観察事象の可視化と共有化は,2011年10月26日に行った。観察者(以下,学生)は中学校家庭科の教育実習を経験している大学院生3名であった。
<結果・考察>観察事象の共有化において,学生は,子ども,教師,教材等の複数の視点から授業をとらえていた。これらの視点は個々の学生にみられたわけではなく,観察事象の共有化において生じたものであった。教師としての技術や実践的知識の形成には,実践場面で観察した事象を複眼的視点により構造化し,その意味するところを洞察する力が必要である(澤本,1998)ならば,家庭科の授業力実践育成の一方法として,観察した授業について共同で考える時間及び方法の検討が必要であると考える。

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