一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3H-4
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口頭発表 5月13日 家政教育
地方国立大学生における日常的に使用される測定単位の理解度調査
*三井 隆弘
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キーワード: 測定単位, 理解度, 横断研究
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抄録

背景と目的:日常的に使われている測定単位や接頭語の重要性は認識されているものの理解度の調査研究はほとんどない.分数がわからない大学生がめずらしくなくなった今日,時速から秒速への換算,カロリー(cal),ワット(W),パスカル(Pa)など単位を,正確に説明できる大学生は,どれだけいるのだろうか.
方法
302名の地方国立大学生を対象として,小学校から高校1年までの学習内容についての長さ,質量,速度,力,エネルギーおよび有効数字に関する10の質問を行った.学生を所属によって分類し,高等学校での理科の選択科目も調査項目に加えた.
結果文科系学生は2.7 ± 1.5点(標準偏差)(n = 138),理科系学生は4.6 ± 1.9 点 (n =164) と予想を大きく下回った.文系学生の半数以上が,5 m2 を 5 × 104 cm2 (50,000 cm2)に変換できず,理系学生で1ニュートン(N)を1 kg m /s2に変換できたのは10 %以下だった.
考察
本調査は,比較的学力が高いと考えられる地方国立大学生であったが,小学生程度の単位の理解が十分でない現状は,憂慮すべきである.初等中等教育での授業時間数と内容の減少や不適切な指導内容が背景にあるものと推察される.家庭科では,食物や被服の分野で,mgとµgやkcal(現在は理科で学習しない)などの指導をていねいに行うのがよいのではないだろうか.

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