一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3H-9
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口頭発表 5月13日 家政教育
ふれあい体験学習中の中学生の対児行動
*権田 あずさ今川 真治鈴木 明子村上 かおり藤井 志保
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抄録

目的 F中学校で実践されている幼児ふれあい体験学習において,体験前の生徒の対児感情を測定するとともに,個々の生徒が持つ対児感情が,ふれあい体験時の行動にどのように現れるかを,行動分析の手法により明らかにすることを目的とした。方法 本研究の対象者は,広島県F中学校の8年生81名(男子40名,女子41名)であった。これらの生徒に対して花沢(1992)の対児感情評定尺度を用いて対児感情を調査した。生徒の中から,対児感情が肯定的な生徒(肯定群)と否定的な生徒(否定群)各4名を選び,ふれあい体験中の行動を観察した。今回のふれあい体験では,多くの生徒が2名でペアを組み,4歳児1名とふれあった。本研究で観察した生徒の行動は,幼児への働きかけ,発話,背中に手を置く,手をつなぐ,顔を向ける,幼児との距離,ペアの生徒への働きかけ,ペア以外の生徒への働きかけであった。 結果 対児感情の測定結果から,中学生は幼児に対して肯定的な感情と否定的な感情を拮抗的にもつが,肯定的感情の方が大きかった。行動分析の結果から,肯定群は幼児に働きかけることが多かったが,否定群はペア生徒やペア以外の生徒に働きかけることが多かった。否定群のある生徒は,ペア生徒が幼児への関わりに積極的であったため,ペア生徒と幼児との関わりを傍観していることが多かった。また,ペア生徒がいなかった否定群の生徒は,ペア幼児に働きかけた割合が高かった。生徒の行動に影響を与えうる要因は対児感情だけではなく,生徒自身の一般的な行動特性や,ペア幼児の特徴なども関与しており,特にペア生徒の有無や,ペア生徒の幼児への関わり方が,幼児への関わりの量や質に影響を与えることが示唆された。

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