一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3H-10
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口頭発表 5月13日 家政教育
男子中学生の家庭科観
私立中高一貫男子校に通う生徒の場合
*土屋 善和堀内 かおる
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抄録

【本研究の目的】 
 家庭科は、生活を主体的に創造する力を育成することを目標に掲げた教科である。しかし、被服製作や調理実習の印象が強く、単に実技を教える教科という認識が残っている。特に男子校という特殊な学校文化の中においては、家庭科を女性的な教科ととらえることで、男子生徒自身が家庭科学習をする必然性を理解できず、学習を軽視する傾向にあるように感じる。
 したがって本研究では、中高一貫男子校に通い始めた中学生の家庭科観を調査し、彼らの家庭科に対する認識を把握するとともに、今後の家庭科授業実践上の課題を明らかにすることが目的である。
【研究方法】 
 2011年4月に中学1年生4クラス(男子178名)を対象として、第1回目の授業の際に、家庭科に関するイメージマップを記入させ、その語彙と語彙間の関係を分析した。同時に家庭科とはどのような教科だと思うか自由記述で記入させ、記述内容を分析した。これらのデータを基に男子中学生の持つ家庭科観を考察した。
【結果及び考察】 
 生徒は、家庭科を「生活に必要」「生活のための教科」「生活に役立つ教科」と認識していた。一方で「料理が作れるようになるための教科」や「家事を学ぶ教科」というとらえもあり、イメージマップからも、「調理(料理)」「裁縫(ミシン)」といった語彙が「家庭科」という語彙の次に連想されていた。生徒は、家庭科を「生活をするための技術を習得する教科」と考えており、学習ではその手法を学ぶことを期待していた。結論として、男子中学生は家庭科を「生活に役立つ」、「生活に必要」とみなしているが、「家事の技術」が身につくととらえ、家庭科を評価していたことが明らかになった。

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