目的 和菓子は我が国の伝統的な和菓子である。しかし,食の洋風化により,和菓子の喫食頻度は減少しており,食文化継承の面で懸念すべき状況にある。一方,食育基本法や学習指導要領など種々の施策においては,文化・伝統の継承は喫緊の課題として取り組みが求められている。これまで本研究室では,大学生および幼稚園児における和菓子の嗜好性や学習状況について研究を行い,食経験が和菓子の嗜好性に影響することを明らかにしている。文化・伝統の継承のためには,幼少時,特に小・中学校における教育の充実が求められる。そこで本研究では,中学生における和菓子の嗜好性および認知度を調査し,発達段階と和菓子の嗜好性の関係を検討した。これにより,和菓子を用いた食育教材開発の一助とする。
方法 和菓子の嗜好性および認知度について,静岡市内A中学校(530名)においてアンケート調査を行った。調査時期は平成25年1月,調査項目は各種和菓子の嗜好性および認知度であり,すべて無記名・選択式とした。アンケートデータの処理は,単純集計とクロス集計を用いた。
結果 おはぎやだんごなどは名前の認知度および喫食頻度ともに高かったが,練りきりや求肥などはともに低かった。また,いずれも,材料は製造方法については認識していない者の割合が高かった。