一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
セッションID: 3P-20
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ポスター発表 5月24日 食物
みりん粕の貯蔵熟成期間にともなう抗酸化能の変化と加工食品への応用
*安藤 真美北尾 悟川崎 明子原田 倫夫
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抄録



目的 近年、地産地消の観点から、日本国内で醸造するみりん製品が増加しているが、醸造後の圧搾により搾りかす(粕)が大量に発生する状況にある。みりんは抗酸化能を有することが知られているため、その搾りかすであるみりん粕にもその機能がもたらされることが予測される。
  そこで本研究では、みりん粕の抗酸化能を測定し、粕の貯蔵熟成期間の違いが機能性にどう影響するか検討した。また、みりん粕の有効利用の一環として、みりん粕クッキーと大根粕漬けの試作を行い、抗酸化能を付与した加工食品の応用開発にも着手することとした。
方法 貯蔵熟成期間(0 , 1 , 3 , 6 , 12 ヶ月)の異なる5種類のみりん粕の抗酸化能をペルオキシルラジカル捕捉活性にて評価した。併せて測色色差計にて色差を測定した。また、みりん粕漬け大根とみりん粕入りクッキーを試作し、同じく抗酸化能と色差の測定を行った。さらに評点法による官能検査を実施し、嗜好性について検討した。
結果 みりん粕は貯蔵期間に依存して抗酸化能が増大する傾向を示した。色差の変化からアミノカルボニル反応による褐変物質の生成による関与が大きいと推測された。みりん粕漬け大根とみりん粕入りクッキーにおいても貯蔵熟成期間が長い粕を使用した方が抗酸化能は増加した。さらに官能検査から、特にみりん粕漬け大根において、貯蔵期間が長い粕を使用した方が嗜好性は上昇した。以上の結果より、機能性を付与したみりん粕の新たな利用展開の可能性が広がると考えられた。

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