目的 今日の食生活様式は多様化し、調理上の形態も大きく変化している。食物のおいしさは味のよしあしに左右され、味覚の形成は日常の食経験による影響が大きく、若い世代層における味覚は低下しているといわれている。そこで、最も味覚に敏感とされる学生の味覚について状況を把握するとともに食生活状況との関わりについて検討した。
方法
管理栄養士養成課程の1年生および3年生の107名を対象とし、2014年12月中旬に無味を加えた五味の識別検査および閾値検査を行った。併せて食生活状況について自己記入方式でアンケート調査を行った。
結果 五味の識別検査で正答率の高かったものは、甘味と酸味であり、反対に誤答率の高かったものはうま味、塩味であった。誤答したもののなかではうま味を塩味に、塩味をうま味と回答しているものが多かった。また、無味をうま味、苦味と誤答しているものが多かった。刺激閾値では塩味、苦味の感度が高く、甘味で低かった。認知閾値では苦味の感度が高く、甘味、うま味で低かった。日常の食生活で塩味のもの、酸味のものをよく摂取する人は認知閾値が高く、甘味のものをよく摂取する人は低くなる傾向がみられた。