一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
セッションID: 2P-39
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ポスター発表 5月23日 被服
会津の仕事着にみられる刺し子の文様について
-下衣・履物を中心に-
*千葉 桂子
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キーワード: 刺し子, 文様, 下衣, 履物
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抄録

目的 残存する会津の仕事着の上衣に着目し,施された刺し子の文様特性について前に報告した。本研究では,それに引き続き下衣と履物に着目し,上衣と同様に文様特性について検討を行った。また,それらの材料や使用方法等についても検討し,これまであまり触れられて来なかった会津の刺し子と衣生活の一端を把握することを目的とした。
方法 (財)会津民俗館に収蔵されている福島県指定重要有形民俗文化財「会津の仕事着コレクション」(昭和49年指定,全476点)を資料とした。本資料には江戸時代から昭和40年代頃に使用されたものが含まれている。その中で,収集台帳上の分類B(下衣,176点),C(履物他,64点)を対象に写真撮影や民俗資料収集台帳の記載内容の分析を行った。
結果 下衣で多かったのがモモヒキであり,次いでサッパカマ,サシコサッパカマであった。多くのサッパカマの材料は麻であるのに対し,サシコサッパカマはすべて手織木綿であった。上衣では装飾的な文様もみられたが,下衣ではたて刺しがほとんどであり,布の補強が目的と考えられる。また,履物および関連品では,シブガラミ,サシコタビ,カカトカゲ,アシマキがあり,たて刺し,ぐのめ刺しが多くみられたが,タビには上衣にもみられた山道刺しや花型刺しが複数認められた。すべて冬の野良・山作業用であり,足部全面に刺し子をすることで補強と保温性の向上を図ったと考えられるが,装飾としても印象的であった。

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