一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3G-13
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口頭発表 5月29日 食物
鰹だしに含まれる呈味物質が塩味増強効果に及ぼす影響
*真部 真里子今井 萌乃川北 麻央田中 想乃西村 公雄
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キーワード: 鰹節, 減塩, 官能評価
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抄録

目的 おいしく減塩するために「だし」を効かして料理することは公知であるが、我々は、鰹だしのうま味以外の呈味物質に塩味増強効果があり、鰹だしのにおいとうま味には、塩味が弱くてもおいしく感じるおいしさ向上効果があることを官能評価によって明らかにした。しかし、塩味増強効果を示す呈味物質の同定には至っていない。その一因には、鰹だし中の呈味物質には、不快感を伴う味質のものがあり、被験者の負担が大きいことが挙げられる。そこで、鰹だし中の主要な呈味成分、ヒスチジン(His)、乳酸、カルノシン(Car)の塩味増強効果を検討するために、各試料溶液にグルタミン酸ナトリウム(MSG)を加え、さらに後鼻腔経由で鰹だしのにおいを付与した条件での官能評価を実施した。
方法 His、乳酸、Carに0.12%MSGを加えた溶液について、塩分濃度を0.62~1.00%の5段階に調整後、それぞれ0.80%NaCl溶液と組にした。被験者(20歳代女性)には、自作の装置を用いて鰹だしのにおいを直接口腔内に付与しながら各組提供し、より塩味が強いものを回答してもらった。
結果 プロビット法で解析した結果、0.12%MSG溶液は、塩味強度に影響を及ぼさなかったが、Hisや乳酸を加えた場合には、塩味増強傾向が認められた。この傾向は、Hisの方が乳酸より顕著であった。以上の結果から、鰹だしの塩味増強効果はHisと乳酸に起因すると考えられる。
*本研究は、2015年度同志社女子大学研究助成金により行った。

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