一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 2H-09
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口頭発表 5月28日 被服
きもの文化に学ぶ環境配慮衣生活の教育プログラム
*大矢 幸江薩本 弥生
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抄録

目的 家庭科の衣生活分野の学習では、「衣服と社会生活のかかわり」を理解させることが目標として挙げられている。これまで、衣文化への関心を持たせる学習において、きもの文化を取り上げ、ゆかたの着装を含む授業実践を行ってきた。本研究では、きもの文化の学習(きもの単元)と環境共生型の衣生活の単元(環境単元)の共通する部分を接続する教育プログラムを考案、実践し、そのことで、2つの授業内容への興味関心、理解に効果があるかを検証し明らかにすることを目的とする。 方法 平成27年7月に、私立男子高校3年生268名を対象にゆかたの着装を含む授業実践を実施した。環境単元の最初に、きもの単元の振り返りとして、過去の日本人の衣生活が、もったいない精神をベースに循環型のシステムを構築していたことを学ばせた。環境単元では生徒主体となる授業として「制服の一生」すごろくを用い、現代の衣生活の問題点を考えさせた。これらの単元を接続する授業の効果を検証するために、きもの単元のゆかた着装授業の直後と1か月後、環境単元の授業直後にアンケート調査を実施した。     結果 ゆかた着装直後に高まったきもの文化への興味関心が、1か月後には低下したが、環境単元の最初にきもの単元を復習したことにより、きもの文化への興味関心が喚起された。興味関心が高まった生徒は、環境配慮への意識・意欲も高い傾向が見られた。環境配慮への意識・意欲はあっても、実生活への行動には繋がっていない実態も明らかとなった。

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