一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 2I-01
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口頭発表 5月28日 被服
綿クレープ織物の引張り特性に及ぼす相対湿度の影響
*與倉 弘子Htike Htet Htet鋤柄 佐千子
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抄録

目的 滋賀県湖西の伝統織物である高島クレープ織物は、日本の盛夏に最適な肌着素材として愛用されてきた。本研究では、織物技術を生かした地域ブランドの創成を企図して、しぼ加工等の織物設計が湿潤条件下での引張り特性に及ぼす影響を評価する。
方法 糸使いの等しい平織基布を用いて、エンボス加工条件の異なる4種類のクレープ織物を試作した。試料を異なる湿度条件下(25℃、40%~90%RH)で調湿し、各湿度条件におけるよこ糸方向の引張り特性をKES-FB計測システムにより計測した。また、クレープ織物の水分移動特性についても検討した。
結果 綿クレープ織物の最大荷重時の伸び率EMは湿度の増加とともに上昇した。規則正しいしぼ構造を持つピケ試料は不規則なしぼ構造を持つ楊柳試料よりもEMの増加が大きい傾向が示された。肌着に用いられるピケ(17P)は60%RHを越えるとEMの増加が顕著になり、着用時に伸びやすく、盛夏に着心地のよい素材であると判断される。一方、引張りレジリエンスRTは湿度の増加とともに減少して回復性が悪くなった。残留ひずみについても70%RH以降大きく増加し、その傾向はピケ試料で顕著であった。ピケ試料は高湿条件での着用において楊柳試料よりも回復性に劣る傾向が捉えられた。布の含水率の変化からは、ピケ試料の放水性が高い傾向が示され、盛夏の最内層の衣服として用いるより、ブラウスやソフトジャケットが適していると考えられる。

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