一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 2J-05
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口頭発表 5月28日 家政教育
沖縄の染織と暮らしの持続性に関する研究
染め織りがもたらす地域生活でのつながり
*松本 由香佐野 敏行
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抄録

目的 沖縄県には多様な染織文化が存在するが、生産者は減少傾向にあり、学校教育でほとんど取り上げられないこともあって、その継承は喫緊の課題である。そこで本研究は、沖縄の染め織りに関する衣生活教材の製作を目的とし、その内容となる染め織りに含まれる価値観、染め織りの世代間の継承のあり方と、その今後の持続可能な生活の形成への貢献のあり方について考察する。
方法 沖縄の染め織りを、平成25・26年度の調査から導いた3つのテーマ、(1)地域生活でのつながり、(2)地域文化の探求、(3)経済性の追求、に分けてとらえ、平成27年度から4年計画で調査研究を行っている。本研究発表では、平成27年度の(1)のテーマである沖縄本島本部町伊豆味、小浜島、久米島、与那国島の事例から考察を行う。
考察 伊豆味では、藍葉の生産農家が減少していく中で、泥藍が一軒の家内工業でつくられ、地域での藍葉の生産の保護、本部町、沖縄県、また国によってその継承が模索されている。小浜島では、染め織りは高齢女性の生き甲斐であり、女性たち相互のコミュニケーションの役割をもつ。久米島では、染め織りが地域の相互扶助で行われている。与那国島では、地元出身者と移住者とによって染め織りが継承されている。これらの事例から、染め織りが、家族・地域の人々の日々の暮らしの中でワークライフバランスをもって営まれ、家族・地域の人々につながりをもたらす役割を担っているといえる。

 

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