一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3D-04
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口頭発表 5月29日 児童
人間学的保育学の思想における乳児保育研究の視点
*西 隆太朗
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抄録

目的 乳児期は人間生活の出発点となる時期であり、大人・保育者との保育的関係が不可欠である。保育者と子どもとのかかわりを繊細に読み解き、実践を深めることは、重要な研究課題である。乳児保育(ここでは3歳未満児の保育を指す)については、実践上の取り組みはなされてきたが、とくに実践とそれを支える保育思想との関連が十分に研究されてこなかった。人としての基礎を培う乳児期においては、個々の保育技術を超えて、人間学的な思想から実践を捉え直していくことが必要である。
方法 子どもと出会う人間学的保育学の研究は、津守眞によって進められてきたが、3歳未満児についての探究はとくに津守房江に見ることができる。本研究は、これらの思想および実践の検討に基づき、次のような視点の意義を示すものである。
結果
①子どもへの敬意
ケアする・される関係はあっても、人として対等であることの認識は、乳児保育においてこそ重要になる。
②かかわりの実践知 関係から身を引く観察者とは異なる形で、主体的にかかわる実践を通して、保育における乳児の心はよりよく理解される。
③言葉を超えるものへの着目 感触、体験、雰囲気、環境など、言葉を超えた要素を捉えることが必要になる。
④人間的視野 特定の能力や技法だけに焦点化するのではなく、子ども、家庭やコミュニティ、そして保育者自身を含めて、全体性を持った人間の営みとして保育を捉える視野が求められる。

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© 2016 一般社団法人 日本家政学会
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