一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
セッションID: 3D-02
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口頭発表 5月28日 環境・福祉
長良川流域における硝酸態窒素の輸送に関する初歩的研究
*千田 眞喜子ソン スイカ葛葉 泰久
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抄録

目的 河川水質の汚染問題の一つに,硝酸態窒素(以下NO3-Nという)による汚染問題がある.NO3-Nは人体にも悪影響を及ぼすので,水道水中の突発的なNO3-Nによる水質汚染事故の恐れについて配慮しておく必要がある.そこで,健康で快適な生活を営むための安全で良質な水が得られるように,水源から水道水に至る窒素移動の把握を試みた.
方法 長良川流域に由来する愛知県半田市の水道水(2016年3月~2016年12月)を毎日22時に採水し,吸光度法による簡易水質測定器でNO3-N濃度を測定した.また,長良川河口堰管理所による河川流量データ,気象庁によるAMeDAS(ヒルガノ,八幡,長滝,美濃,岐阜,大垣,愛西,桑名)の降水量データと気温データ,愛知県水質試験所による水質データを用いて,水道水中のNO3-N濃度変動及び環境へのNO3-N負荷量に注目し,長良川流域におけるNO3-Nの輸送の解析を行った.
結果 1)本研究の流域・観測期間においては,流域内平均気温及び流域内平均降水量は水道水中のNO3-N濃度の増減にほとんど寄与しないことが明らかになった.2)降水イベントの降り始めの翌日に,水道水中のNO3-N濃度も高くなる事例(2016年台風16号)がみられた.これは降水により,森林を含む流域からの流出水中のNO3-N濃度が増加することを示唆している.3)流量が増加すると,水道水中のNO3-N濃度が減少する事例があった.4)水道水中のNO3-N負荷量の変動は,概ね濃度よりも流量の影響が大きいという結果が得られた.

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