一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: 2F-12
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口頭発表
糸結びテストにみる児童の手指の巧緻性と生活実態の関連
*川端 博子長谷川 美悠萩生田 伸子鳴海 多恵子
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抄録

(目的)便利な生活機器の普及、作業経験や遊びの変化などにより、子どもたちが日常生活の中で手指を使う機会は減少しており、手指の巧緻性は低下傾向である。筆者らは、手指の巧緻性に優れる者は、遊び・手指を使う学習・ものづくりに積極的な参加姿勢があることを明らかにしてきた。本研究では、現代の小学生の手指の巧緻性の現状を把握するとともに、生活実態に関する質問紙調査より手指の巧緻性に関わる要因について考察することを目的とする。
(方法)2017年7~9月、東京都内の6校の小学6年生478名(男子247名、女子231名)を対象に、糸結びテストにより手指の巧緻性を計測した。併せて質問紙調査(ものづくりに対する意識と生活の自立度、家庭科の既習事項の実践度、遊びの参加度、手指を使う作業の得意意識、学習に対する好きの程度、家庭での生活時間など62項目)を実施した。
(結果)5分間に完成した糸結び数の平均は、男子5.5個、女子9.0個であった。2007年の平均は男子6.4個、女子10.7個であったことから、今回の結果には個数の低下と男女差が認められた。質問紙の回答をもとに、糸結び数を従属変数として重回帰分析を行ったところ、性別、ものづくりに対する意識、家庭科の既習事項の実践度、手指を使う作業の得意意識が正に関与していることから、家庭科の役割を手指の巧緻性向上の面からも示唆する結果となった。

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© 2018 一般社団法人 日本家政学会
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