主催: (一社)日本家政学会
会議名: 70回大会(2018)
回次: 70
開催地: 日本女子大学(東京)
開催日: 2018/05/25 - 2018/05/27
目的 家事能力は,男女を問わず,一生を通じて必要な能力である.とりわけ食事作りは,頻度において他の家事の比ではなく,健康や命に関わるので,最重要の家事である.現実の家庭生活では女性が担っていることが多いが,男性が高齢期に独居となる可能性もある.そこで,本研究では,普段あまり調理をしない男性の調理能力を考慮した,料理作りの意欲を高める調理のアプローチや要因を探ることを目的とした.
方法 目的を達成するために,男性向け料理本(21冊)の分析と60歳前後を主な対象者として半構造化されたインタビューを行った(2016年7月~9月,20名).インタビュー内容は属性の他,学校における調理の学習,現在の調理状況,栄養・調理に関する知識,自分の調理能力の認識,レシピの理解力,料理作りの障害となっている事柄,料理作りの意欲を高めてくれる事柄等である.
結果 男性向け料理本21冊を分析した結果,様々な料理器具や手順が必要な作り方が7割強を占め,「初心者」「入門」「簡単」「自立支援」というキャッチコピーとは矛盾していた.インタビュー調査からは,50歳を過ぎたあたりから調理に関心を持つようになり,「料理をしたい気持ちはある」が,多くの調査協力者は知識も技術もない現状では行動に移すことが難しく,実際に自分で食事を用意する段階には至っていないことが分かった.また,意欲を高める要因が心理的・人的つながりであることが推察できた.