一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: 2K-05
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口頭発表
りんごの酸化酵素による褐変反応の一考察
*栗 彩子谷口(山田) 亜樹子
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抄録

【目的】りんごは切って空気にさらすと、酸化酵素がポリフェノール化合物を酸化重合し褐変する。この褐変反応は酵素・基質・酸素の共存状態を阻止、酸化生成物を還元、酸化酵素を失活させることで阻害することができる。調理加工において酵素的褐変の制御は重要な課題となっている。本実験では、酵素的褐変反応の制御に代表的な食塩、酢酸、アスコルビン酸の影響を調べ、色彩計による褐変の経時変化・程度に差が見られるか検討した。

【方法】試料は一般社団法人青森県りんご対策協議会の協力により青森県産サンふじを用いて行った。すりおろしたりんご果肉を素早く食塩水、酢酸水溶液、アスコルビン酸水溶液と混合し、褐変状態の経時変化を観察した。また、色彩計を用いてL*a*b*表色系にて色彩の測定、色差の算出を行った。さらに、食塩水の濃度およびpHを調製して同様に実験を行った。

【結果】色彩計による測定の結果、L*値は全て時間経過とともに減少、a*値は増加、b*値は増加した。色差を算出した結果、いずれも10分間で急速に増加、その後は緩やかに増加、平衡状態となった。
L*値、a*値、b*値および色差から、りんごの褐変防止には食塩水、アスコルビン酸水溶液が有用であることがわかった。結果より食塩に着目して食塩水の濃度、pHの調整をした結果、2%食塩水でpH5~pH6の条件で褐変防止効果が高いことがわかった。この条件における色差の変動はあまり見られなかった。

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