目的 米粉を用いたグルテンフリー製品は、食料自給率向上や小麦アレルギー対応食として有効と考えられているが、製パン性の悪さやデンプンの老化による硬化が問題点である。本研究では、グルテンフリー米粉蒸しパンに熱応答性キシログルカンを添加し、製パン性及び保存性に及ぼす影響について検討した。
方法 基本材料として米粉、砂糖、食塩、油、ベーキングパウダーを用いて蒸しパンを調製し、コントロールとした。これに熱応答性キシログルカン(MTG)、タマリンドガム、キサンタンガムを1%の割合で添加した。焼成後25℃で1時間放冷したのち、25℃、RH65%の環境下で0~3日間保存し、比容積、気泡径、破断特性、X線回折による老化特性を測定した。さらに官能評価を行い、保存性に及ぼす増粘多糖類の影響を食味特性から評価した。
結果 増粘多糖類を蒸しパンに添加すると比容積及び気泡数が増加した。破断特性は、保存1日目までは破断応力、破断エネルギー、初期弾性率の値にほとんど変化はなかったが、2日目以降、MTG添加試料がコントロールよりも低値を示し、増粘多糖類添加の中で最も保存中の硬化が抑えられていた。X線回折による老化評価では、保存日数が経過するほど増粘多糖類の違いは顕著となり、3日目においてMTG添加試料が最も老化抑制効果を示した。2日間保存した試料についての官能評価では、嗜好型においてMTG添加試料は全ての項目で有意に好ましいと評価された。