一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: P-167
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ポスター発表
分岐型脂肪酸類における皮膚常在菌の抗菌効果
*林 琴美好田 年成森田 洋
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抄録

目的 人の体には皮膚常在菌が存在し、中でもMoraxella osloensisは人や動物の口腔、上気道、粘膜などに常在し、皮膚を保護する役割を担っている。一方で洗濯後の衣類に発生する雑巾様臭の原因菌として挙げられる。このため現在、洗濯用洗剤には様々な抗菌剤が使用されているが、より効果が高く、かつ安全性の担保された抗菌剤が求められている。そこで、本研究では分岐型脂肪酸類に着目し、Moraxella osloensisに対する抗菌効果について検討を行った。
方法 研究に使用した分岐型脂肪酸類(ファインオキソコールR)は日産化学工業株式会社製を使用した。抗菌試験はサンプルと細菌懸濁液を接触させ、10~180分接触後に寒天培地に塗布し、2日間培養後コロニーカウントを行った。
結果 分岐型脂肪酸であるイソパルミチン酸及びイソパルミチン酸Kは接触60分で6オーダーの抗菌効果を示した。これをカリウム塩としたものでは接触10分で6オーダーの抗菌効果を示した。さらに持続性試験の結果、脂肪酸塩は培養14日間まで生菌数に変化がなかったことから、殺菌的であることが示唆された。また、最小発育阻止濃度(MIC)の結果より、分岐型脂肪酸よりも脂肪酸塩の方がMIC値は小さかった。これよりイソパルミチン酸カリウム塩及び、イソパルミチン酸Kカリウム塩の新規抗菌剤としての有効性が示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本家政学会
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