一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: P-169
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ポスター発表
生菌数とATP拭き取り検査による手洗い効果の評価
*山田 夏代板橋 未奈石田 和夫
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キーワード: 手洗い, 生菌数, ATP
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抄録

目的手洗いの目的は目に見える汚れと、外界由来の有害微生物の除去にある。特にノロウイルスの場合患者・保菌者の糞便から手指を介しての食中毒が多く、食品を取り扱う業務においては手洗いの重要性が再び注目されている。本実験では、生菌数およびATP拭き取り検査から手洗いの効果を比較評価した。実験方法手洗い指導を受けていない本学学生23名を対象に実施した。石けんを使った手洗いは「自己流:泡立て15.3秒、洗い21.2秒、すすぎ21.3秒(平均)」「30秒・1回洗い:泡立て20秒、洗い30秒、すすぎ20秒」「30秒2回洗い:泡立て~すすぎを2回繰り返す(大量調理施設衛生管理マニュアル準拠)」の3通りである。手洗い前は右手、手洗い後は左手からGlove juice法に従って抽出回収した溶液を検液として生菌数、ATPの測定に用いた。結果(1)生菌数:3通りの洗い方全てにおいて、手洗い前後の生菌数は10CFUであり、有意な差はなかった。(2)ATP:3通りの洗い方全てにおいて、手洗い後に有意な減少があった。(p<0.01)(3)生菌数とATP値の間に有意な相関は無かった。まとめATP値の有意な減少はATPを含む汚れ(有機物+一過性微生物)の洗浄除去によるものであり、手洗いの入念度が関係する。生菌数に有意な差がなかったのは、手洗い後に皮膚深層部から湧出して来る膨大な数の常在微生物に相殺された形になったものと推察された。

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