主催: (一社)日本家政学会
会議名: 70回大会(2018)
回次: 70
開催地: 日本女子大学(東京)
開催日: 2018/05/25 - 2018/05/27
目的 米粉パンの膨化には、生地の粘度と粘度の保持が重要な因子である。私たちは既報で、米粉パンを製造する際に加える水の温度(加水温度)によって、生地の粘度が大きく変化し、その後の製パン性にも影響を与えることを報告した。本研究では、グルテンフリー米粉パン生地調製時の加水温度の検討を行い、米粉パン調整におけるパン生地粘度の影響を明らかにして、グルテンや増粘多糖類などを必要としない製パン条件を検討した。
方法 加水温度を変えて生地を調製し、生地の物性評価(粘度測定)および形態評価(電子顕微鏡観察)を行った。同様の条件でグルテンフリー米粉パンを焼成して、製パン特性評価(比容積測定、断面観察、テクスチャー測定)を行った。パン生地の粘度と焼成パンの品質を比較検討し、パン生地の粘度とグルテンフリー米粉パン調整の関係を解析した。
結果 高温域(70~80℃)の水添加試験では、72℃近辺で生地粘度が上昇し、焼成したパンの品質も良好であった。高温域水の加水により、デンプンの糊化現象が見られ、「糊化」の関与が推察された。しかし、78℃以上では過剰に糊化が進行し、パン品質を低下させる傾向が見られた。加水温度72℃~76℃の間に、適する加水温度があることが示唆された。