主催: (一社)日本家政学会
会議名: 70回大会(2018)
回次: 70
開催地: 日本女子大学(東京)
開催日: 2018/05/25 - 2018/05/27
「目的」
ケニアでは、農村部から都市部への人口流入が進む中、首都ナイロビ市内に100をスラム(インフォーマル居住地)がその受け皿となっている。従来、スラムは農村部からの出稼ぎ民のための一時的な住まいとしての役割が指摘されてきたが、近年、人々のライフスタイルの変化とともにスラムの役割も変化していると考えられる。本研究では、ナイロビ市内のムクルスラムを対象に、現地の住宅の構成や使われ方から、現在のスラムの居住環境について明らかにすることを目的とする。
「方法」
本研究では、2014年10-11月に、ムクルスラム内の2つの地区(Railway/Ruriie)に立地する住宅51件を訪問し、①住宅の実測、および②住宅内スペースの機能、③職業などについてヒアリングを行った。調査にあたっては、現地に精通する住民に通訳の他、調査対象の斡旋を依頼した。
「結果」
本研究より、ムクルスラムに住宅の多くは賃貸であり、3×3メートルの規格のものが多いことが分かった。また、住宅の狭さから、多くの住宅で共通した家具のレイアウトがみられた。小面積の住宅を住みこなす工夫であると言える。さらに、ムクルスラムにおいて小売店を営む者が多く、それにより住宅内の一部を店舗に改修したり、地域内のオープンスペースに露店を出すなどして、商用空間を整備している実態が明らかになった。