2020 年 60 巻 p. 151-157
ローゼル萼による2型糖尿病モデルマウスの血糖低下作用を明らかにするために、肝臓での糖質代謝について検討した。まず、ddYマウスとKK-Ayマウスにローゼル萼100mg/kgを4週間毎日経口投与し、それぞれ蒸留水を経口投与した対照群と、血糖値の変化を比較した。その結果、KK-Ayマウスにおいては、ローゼル萼投与4週間後に有意な血糖値上昇抑制作用が見られた。その後、4週間ローゼル萼を投与したddYマウスおよびKK-Ayマウスに対して糖負荷試験を行ったが、KK-Ayマウスでは血糖値上昇を抑制する傾向が見られた。さらにインスリン負荷試験を実施したが、有意な差は認められなかった。また、投与4週間後のKK-Ayマウスの肝グリコーゲン量は有意に増加していた。以上の結果より、ローゼル萼の4週間投与は、KK-Ayマウスの血糖上昇を抑制し、肝臓のグリコーゲン量を増加させる作用を有することが示唆された。