抄録
本研究の目的は肩腱板断裂に対して超音波ガイド下腕神経叢ブロック単独で鏡視下腱板修復術を行った症例と,全身麻酔を併用して行った症例の周術期について比較することである.対象は腕神経叢ブロック単独の25例と,全身麻酔併用の38例で,全例beach chair positionで手術を行った.斜角筋間アプローチで腕神経叢ブロックを行い,成功率は100%であったが,軽い局所麻酔薬中毒症状を呈した症例が1例あった.手術時間の経過とともに腰痛Numerical Rating Scale scoreは上昇する傾向にあった.麻酔導入から手術開始までに昇圧剤を要した症例数および平均使用回数は全身麻酔併用群で有意に多かった.麻酔導入時間,手術準備時間は両群間で有意差はなかったが,手術後時間は腕神経叢ブロック単独群で有意に短かった.腕神経叢ブロックによる麻酔は全身麻酔に伴う合併症が回避され,全身麻酔に代わり得る有用な麻酔方法と考えられた.