抄録
高齢者の肩関節脱臼骨折において,再脱臼をきたす頻度と,その要因となる骨折部位を検索することが本研究の目的である.
2010年4月から2013年3月に,当院で肩関節前方脱臼骨折と診断された60歳以上の患者,男性14例,女性21例の計35例を対象とした.整復後,再脱臼を起こした患者の骨折部位と頻度を調べた.35例中6例(22.9%)で再脱臼し,2例は整復維持ができなかった.再脱臼した症例は男性1例,女性5例であり,男性の7.1%に比して女性では36.8%と女性で高率であった.骨折部からの分析では,大結節骨折3.7%に対して,関節窩骨折の症例で80%と高率に再脱臼を起こしていた.また,整復の保持が不能であった症例は,2例とも関節窩と大結節の骨折を起こしていた.
高齢者の肩関節脱臼において関節窩骨折を念頭に置いた治療が不可欠と考えられた.