肩関節
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神経疾患
手術を行わなかった腋窩神経麻痺を伴った腱板広範囲断裂の経過
石田 康行帖佐 悦男矢野 浩明谷口 昇大田 智美中村 志保子
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2015 年 39 巻 3 号 p. 783-786

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抄録

 腱板断裂に伴った腋窩神経麻痺の多くが自然回復することから,早期の腱板修復術を推奨する報告がある.しかし,一次修復不能な断裂では治療方針に苦慮する.手術を行わなかった腋窩神経麻痺を伴った腱板広範囲断裂の経過を調査した.症例は5肩.年齢は69~79歳,経過観察期間12~44ヵ月であった.全例肩関節前方脱臼に伴った腱板広範囲断裂と腋窩神経麻痺であった.麻痺回復徴候を認めた時期,受傷前の自動挙上角度に回復した時期と,初診時と最終観察時のJOA scoreの疼痛,機能,可動域で調査した.全例,受傷前の挙上角度に回復し,麻痺回復徴候を認めた時期は2~6ヵ月,受傷前の挙上に回復した時期は5~12ヵ月であった.JOA scoreは初診時平均32.5点が最終観察時平均60.5点へ有意に改善していた.腋窩神経麻痺を伴った腱板断裂に対する手術は絶対適応ではなく,断裂腱板の状態で検討すべきと考える.

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© 2015 日本肩関節学会
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