抄録
腱板断裂動物モデルの基礎研究は急性モデルの報告が多く,ヒト肩関節に構造が類似するラットを用い,昨年我々は初めてラット腱板断裂慢性モデルを報告した.本研究の目的はラット腱板断裂慢性モデルの組織学的評価を行うことである.10週齢SDラット20匹を用い,棘上筋と棘下筋を切離し腱板断裂を作製し断裂型のレジンを上腕骨に固定した慢性モデル群,断裂のみの断裂群,Sham群の3群で,術後4週・12週でマッソン・トリクローム染色にて腱変性を定量評価し,HE染色にて腱板筋の脂肪変性および筋萎縮を組織学的に評価した.術後4週で軽度の腱変性を認め,12週で変性が進行しBonarスケールで有意に高値を示した.また,術後12週で棘下筋内腱周囲及び棘上筋外の脂肪細胞の増加と筋細胞の萎縮を認めた.ラット腱板断裂慢性モデルは術後12週で組織学的に腱変性・脂肪変性・筋萎縮の進行を認め,慢性モデルとして妥当な変化を示し,二期的な研究への使用が期待される.