2016 年 40 巻 2 号 p. 499-502
副神経温存頸部郭清(MRND)術後の肩関節外転機能予後評価としての肩甲骨脊椎間距離(Scapula-Spine Distance:SSD)の有用性を検討した.MRNDを施行し術後リハビリテーションを行った患者30例,38肩を対象とした.術前,術後リハビリテーション開始時,1,3,6ヵ月後に下垂位と90度外転位でのSSDを,術前,術後1,3,6,12ヵ月後に肩関節自動外転可動域を測定した.上肢下垂位SSD-肩関節外転位 SSDと次回測定時の肩関節可動域には高い相関関係を認めた.上肢下垂位SSD-肩関節外転位SSD≥0となった肩の80%以上は,次回測定時に肩関節外転可動域が改善していた.下垂位のみの評価だけでなく肩外転位と組み合わせてSSDを測定することで,外転による筋収縮時の肩甲骨位置を評価することができた.