抄録
脱臼不安感は肩関節不安定症の主要所見の一つであるが,その出現要件は未だ不明である.今回我々は肩関節前方不安定症患者22名23肩について損傷関節唇の肩関節他動回旋時の動態をCine-MRIを用いて撮像し,撮像中の脱臼不安感を聴取した.Cine-MRI上で関節窩に関節唇が圧着した肩関節下垂位での回旋角度(以下圧着角)と関節唇が離開した回旋角度(以下離開角)を計測し,関節窩への関節唇の圧着や離開,及びその回旋角度と脱臼不安感に関連が有るか後ろ向きに検討した.関節唇が関節窩に圧着している状態で脱臼不安感を認めるものが7肩,逆に離開した状態で脱臼不安感を認めないものを8肩確認した.脱臼不安感の有無で分けた2群間で平均圧着角,平均離開角に有意差を認めなかった.関節窩に対する関節唇の状態が脱臼不安感の出現を決定するとは言えなかった.