肩関節
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筋腱疾患
腱板腱内断裂に対する鏡視下修復術の治療成績
菊川 和彦奥平 信義
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2016 年 40 巻 3 号 p. 933-937

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抄録

 腱板腱内断裂は,診断が難しく,症例数が少ないため,まとまった報告はほとんどない.そこで,腱内断裂に対する鏡視下腱板修復術の治療成績,特徴を調査した.対象は8肩,男5肩,女3肩,手術時平均年齢は47歳,術後経過期間は12~42ヵ月であった.4肩(50%)が術前にMRIで腱内断裂と診断された.全例,鏡視下にプロ―ビングで断裂部を同定,試験切開し,トリミングした後,アンカーによる修復を行った.JOAスコアは術前66.3±7.2点が術後92.1±8.2点に,UCLAスコアは術前16.4±3.3点が術後31.4±3.4点に,VAS は術前6.8±1.3から術後1.2±1.3に改善し,良好な治療成績が得られた. 8肩の臨床的特徴は(1)若年者が多い(2)痛みや夜間痛が強い(100%)(3)拘縮例が多い(62%)(4)インピンジメントサイン陽性例が多い(75%)であった.これらの臨床的特徴をもち,罹病期間が長い症例では,腱内断裂も頭に入れ,治療にあたるべきと考える.

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© 2016 日本肩関節学会
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