2016 年 40 巻 3 号 p. 928-932
腱板断裂患者の関節症(OA)の評価を術前X線と関節鏡で行いX線のOAの診断率を調査し,さらに鏡視下腱板修復術(ARCR)の臨床成績をOAの有無に分けて検討した.対象は腱板断裂に対してスーチャーブリッジ法によるARCRを施行し,術後2年以上が経過した60例60肩.男26肩,女34肩で,手術時年齢66歳(44-82),術後観察期間は27ヵ月(24-48),断裂サイズは小・中断裂が32肩,大・広範囲断裂が28肩であった.X線評価にはGerber分類を用い,mild以上をOAありとした.関節鏡視による評価にはOuterbridge分類を用い,grade 2以上をOAありとした.X線評価によるOAの診断率は感度74%,特異度40%,正診率68%であった.また小・中断裂においてX線上Gerber分類で関節症を認めた群では認めない群と比べて術後のJOAスコアX線の項目が有意に劣っていた.それ以外の臨床成績は,両群間に有意な差は認められなかった.